No.49 黒い火 2008.2.16.掲載

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黒い光?

右の写真は消えかかった炎のススではありません。燃えている状態です。もちろん、紙などを近づけると、火がつきます。炎が黒い色をしている火です。

ガスバーナーの炎に色々な金属化合物を入れると、炎が色付きます。これは炎色反応といって、金属元素が高温になると、決まった波長の光を出す現象です。

ですが、黒い光というものはないので、黒色の炎色反応はありません。

燃えているのは旅館の鍋ものなんかで使う固体燃料です。アルコールが主成分です。

種明かし

実は照明に秘密があります。使った照明はナトリウム灯です。ナトリウム灯は体育館やトンネルの照明などに使われている放電管です。内部には金属ナトリウムが封入されています。ナトリウムは高温になると決まった波長の光を出します。その光は私達にはオレンジ色の光に見えます。

固形燃料には食塩を振りかけてから点火します。そうすると、ナトリウム原子が存在するので炎は炎色反応によってオレンジ色に染まります。ところで、ナトリウム原子は光を吸収する性質があります。波長の決まった光、つまりオレンジ色の光だけを吸収するのです。炎の中にそのような状態のナトリウム原子が存在するので、ナトリウム灯の光を当てると、その光を吸収するわけです。光が吸収されると、その部分は黒く見えます。

 

実験用ナトリウム灯

身近な材料で

2つの固形燃料を使って黒い炎を見ることを試みましょう。1つの固形燃料はアルミホイルのカバーを全部はがして、火力を大きくします。もう1つの固形燃料はカバーをはがさず、そのままか、さらにアルミホイルで半分を包んで、小さな炎を出すようにします。

つまり、大きな炎の光で、小さな炎を眺めるわけです。もちろん、どちらの固形燃料にも食塩をさじ一杯ずつかけてから、部屋を暗くして、点火します。上手く行けば、小さい炎の縁取り部分が黒く見えます。

 

おまけ情報

 カバーをはがした固形燃料は火力が強いので、置く場所に注意して下さい。台所の流しで行うか、図のようにぬれ雑巾にアルミホイルを敷いて、その上で行います。実験を行うのは部屋を真っ暗にする必要があるので、夜中が良いでしょう。

 本実験と関連する実験は、2008年2月発売の拙著 『太陽電池のしくみがわかる実験と工作』 誠文堂新光社 にも掲載しました。

 

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