No.58
セミ・フルイダイン

2014.12.27.掲載

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fluidyne-ship400

水 スターリングエンジンによるRC模型船です。
2014年11月の第18回スターリングテクノラリーでアイデア金賞を受賞しました。

MOVIE(YOU-TUBE動画)

胡椒缶のフタの部分に貼ったゴム風船ダイヤフラムがゆっくり振動し、水面に差し込んだホール内の水面がゆっくり振動します。


ホースからの水の出し入れによって推進することは、オモチャのポンポン船と同じ原理です。


 

水スターリング

最も単純なス ターリングエンジンは2つのピストンを持っています。ピストンの代わりに流体を用いたものはフルイダイン(Fluidyne)と呼ばれています。

右図がその説明 イラストです。加熱部、放熱部の体積を決めているのは水面です。両方の水面がゆっくり振動して空気が加熱側と冷却側を往復すると、そのたびに空気の圧力変化 が起こるので、水溜めにつながった水パイプ内の水が左右にゆっくり振動します。これを利用すると、右図のように、少しずつ水を汲み上げるポンプに応用することが出来ます。

水スターリ ングエンジンのゆっくり水が動く様子を眺めるは楽しいですが、ポンプ以外に何か仕事をさせようとすると、出力の取り出し方に困ります。

そこで、スターリングの2つの ピストンのうち一方は通常のピストンやダイヤフラムのままにして、一方だけを流体化するということも、あり得ます。その場合、半分だけフルイダインなので、その方式を私はセミ・フルイダイン(Semi-Fluidyne)と呼んでいますが、海外では片方だけの流体使用も含めて、Fluidyneと呼んでいるようです。

下記URLのサイトでは ハンガリーの趣味の人たちが「メトロノームエンジン」Metronome-Engine と称して作例を紹介していますが、これはセミフルイダインです。彼らは納得しがたいP-V線図なども使って、「スターリングではない」と説明していますが、私には理解できません。

http://stirlingtechnology.blogspot.jp/2014/03/metronom-gep.html


水スターリングの説明図 
 水スターリングポンプ(フルイダイン)

セミフルイダインの構造 
  セミ・フルイダイン


 右図は私の考えるセミ・フルイダインの簡単な動作説明図です。パイプ中の流体がそ の慣性と内外の圧力差によって振動し,ピストンの代用となります。2ピストンのフリーピストンスターリングエンジンと全く同じ動作です。
 流体が水の場合、振動はゆっくりなので、ベローズとピストンの動きを目で追うことも可能です。ベローズより少し遅れて動く水ピストンの動きは、図のように動作しているように見えます。
 
動作するための条件
 右の図中で、ディスプレーサが上方に移動するのが加熱過程ですが,そのときベローズ内の体積増加による圧力減少に対して、気体が加熱されたことによる圧力増加が上回らないと,その後の膨張 過程を引き起こすことができません。
 内部気体が理想気体,ディスプレーサ効率100%と仮定して,ベローズとディスプレーサ断面積をSB, SD,高温部と低温部の温度をTh,Tc,とすれば,上の条件は次の式になります。
式1 文字
  ベローズ等の行程容積(面積)が大きい場合は、ディスプレーサの行程容積(面積)が充分に大きいか、または温度差があるていど必要だということになりま す。
セミフルイダイン説明図

ページトップの船の場合、風船ゴムのダイアフラムは胡椒缶フタの面積の60〜70% と大きいですが、缶の中にはスチールウール熱再生器があるためか、ポケットバーナーの加熱で生じた温度差で十分に動作しました。振動数は ホースに吸い込んだ水の量によって変わりますが、2Hz〜4Hzていどでした。

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ところで、ホ−スの口から水は出入りを繰り返しますが、それがなぜ推進力になるのか、一言で説明するなら、吸う時と吐く時の運動量ペクトルの違いです。このことにつ いての簡単な説明については、 No.25 スポイト船 をご覧ください。

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