No.57 ジャイロ式波力発電模型

2012.8.17.掲載

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ジャイロ式波力発電

今まで波力発電といえば、水位差から空気の流れをつくってタービンで発電する方法とか、やはりどう考えても大きさの割に発電量の少ないイメージでした。

右の写真は神戸大学院で研究・開発されたジャイロを利用した波力発電装置です。
写真の試験機は9m×15mの大きさで45kWを記録したということです。同じ面積の太陽電池の数倍ていどの電力です。すばらしい!!

少し前の報告が次のPDFで公開されています。

ジャイロを利用した高効率波力発電装置(JSTサイト PDFファイル)

2008年の動画がYoutubeにあります。大学発のベンチャー企業の段階だったと思いますが、最近の情報では1013年度目標で日立造船が市場投入すると言っています。

http://www.youtube.com/watch?v=P4J1phu60lw

 

中身はどうなっているのでしょうか。

 

海面で長期実験中の様子

画像はmisaさんのブログからお借りしました。
http://ameblo.jp/aries-misa/entry3-10837602265.html

実はもとは高校生のアイデア

もとのアイデアは70年代の米国の高校生の発明のようです。

http://spectrum.ieee.org/green-tech/geothermal-and-tidal/wringing-watts-from-waves

こ れは中身が見えますね。枠の下側は2つコイルの発電機でしょう。一番上の真鍮らしきフライホィールが常に回転しているとき、全体を傾ければ、ジャイロ効果 によって鉛直軸まわりの回転力が生まれます。その軸は下部にあるコイルの回転軸になっていて、2つのコイルがぐるぐると回り、発電すると思われます。

写真から判断すると、任意の揺れの周期に合わせることは出来ない構造と思います。つまり、手で装置をちょうど良いくらいの周期で揺らすと、発電ができる仕掛けだったと思います。


ジャイロ効果

海 の波は風の速さなどによって変わるので、海に浮かべた浮体は少しのあいだならいつも同じ周期で揺れているでしょう。しかし、時間がたてば周期の長さは変化 してきます。その周期と垂直軸の回転する周期が同期していないと、垂直軸回りの回転力が持続しませんが、海の波は合わせてくれません。

神 戸大学院の研究は、鉛直軸の回転周期を海の波の起こす揺れの周期に合わせる機能を付け加えたのだと思います。これは、発電機の負荷を増減すれば良いと思い ます。比較的単純な電子回路で制御できると思います。ロジックを組み込めば、いろいろな海の波の周期にきめ細かく適合させることができるでしょう。

 

作ってみました。

もちろん、元のアイデア、高校生の方の再現です。

フライホィールは有り合わせの直径40mm厚さ6.8mmの真鍮製をつかいました。

フ ライホィールを回すためのモーターはマブチ130タイプ(3V用)です。それに3Vをかけるとブ-ンと音がして恐ろしいので、単三1本1.5Vで駆動しま す。図にはありませんが、途中にスィッチをつけましょう。これで十分。何しろこのフライホィール用モーターが発電の仕事をするわけではないのです。軸の部 分の摩擦力が小さければ、軸を傾けてもフライホィールの回転は上がりも下がりもしません。

軸を揺らすと、ジャイロ効果によって鉛直方向の軸に回転力が生まれます。その軸が発電機を回す構造にすればよいので、垂直軸の回転をタミヤ三速ギアボックスで増速し、発電モーターを回します。

ギヤボックスはタミヤ「3速クランクギアボックス」16.6:1または「シングルギヤボックス (4速タイプ」12.7:1)を使い、付属の130モーターはフライホィール用に使います。ギアボックスのモーターマウント部分をノコギリで平らに切り取ると、RF-330Kモーターがちょうどはまります。

LED を点灯させる発電用モーターとしては、CDやDVDのローディング(出し入れの動きをする)用の省電力直流モーター(12V用ていど)がちょうど適してい ます。壊れたCD-ROMドライブなどを壊すと出てきます。模型屋さんで買えるモーターではタミヤ太陽電池用モーターRF-330TK が良いと思いま す。同じくタミヤソーラーモーター02(RF-500TB)は発生電圧が小さく、やや大型でゴキングが大きいですが、何とか使えます。

RF-330TKは軸径が1.4mmなので、ギアボックス付属の内径2mmピニオンギアは使えません。ミニ四駆のプロペラシャフト用ギアが使えます。

はみだし情報&考察

ど の方向に揺すっても良いですが、揺する周期が垂直軸の回転とタイミングがあうと連続点灯します。揺らしてみるとだんだんコツをつかめます。フライホィール の回転方向に揺らしてもジャイロ効果が生まれないので、フライホィール軸の方向と揺らす方向が並行になる位置で揺らし始めると、スムーズにフライホィール 軸の回転を開始できます。

赤LEDと青LEDを逆方向に並列に接続していると、垂直軸の回転の向きで赤か青のどちらかが点灯する状態になります。

発 電起電力が同じでも赤LEDの方が電流が流れやすいので、負荷が大きくなり、ゆっくりとした揺れで点灯し続けることができます。青が点灯するときは逆に少 し速めに揺らした方が点灯し続けます。つまり、発電負荷によって垂直軸の周期を変えることができます。この負荷の電流をコントロールして海の波の周期に垂 直軸の回転を合わせるように工夫すれば、最新のジャイロ波力発電になります。

お 風呂に浮かべられる発電機になると楽しいでしょうね。揺れの位相と垂直軸の回転の位相差を検知して、発電モーターの負荷電流を変化させるようにすれば、良 いわけです。光センサと重りだとか、何か原始的な方法で、アナログ制御で、トランジスタ1つか2つで出来そうな気がしますが‥。あとで、楽しみに考えよ う。

 

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