No.46 | 波動歯車 | 2007.10.4.掲載 |
波動歯車 波動歯車は最近のロボットの関節部分などに使われている減速装置です。ホンダASIMOの関節20個くらいがこれで動いています。減速比が大きいにもかかわらず、部品点数が少なく、軽量でスムーズな減速が可能です。 その原理は米国の発明家によって考案されました。日本のメーカーハーモニック・ドライブ・システムズ社のHPに紹介されています。 右写真はウィキペディアより |
減速のしくみ 固定されている内歯歯車(サーキュラスプライン)の内側に、楕円形にたわんだ外歯歯車(フレクスプライン)が噛み合っています。内側になるフレクスプラインの方が歯数が少ないわけです。 フレクスプラインを内側から押さえている楕円形の回転体(写真では青色の四角のもの)がフレクスプラインの内側で滑りながら回ると、それによって歯車どうしの噛み合いの場所が移動します。 ウェーブゼネレータが1回転すると、内側と外側の歯数の差だけ噛み合いがズレ、結果としてフレクスプラインがわずかな角度だけ回転します。 急いでハンドルを回しても、フレクスプラインはそれに合わせてウネウネとたわみますが、フレクスプライン全体は非常にゆっくり回転することになります。 |
片段ボールで製作
本来ウェーブジェネレータは楕円形であり、全周がフレクスプラインと多数のボールによって接触しています。この模型では長方形のスチレンフォーム+PET板の円弧で代用するので、フレクスプラインと接しない部分があります。また、ボールを用いないでPET板が直接フレクスプラインの内側を押します。PET板の滑りを利用しています。
内歯歯車(サーキュラスプライン)の作り方
実は片面段ボールを貼り付けて内歯歯車を作ると、歯車ピッチが小さくなってしまって、外歯歯車とまったく噛み合いません。そこで...
図のように、缶などに巻き付けた段ボールの外側に厚紙を接着してから段ボールの裏紙をはがして、内歯歯車を作りました。
出力カップ
写真のように、フレクスプラインをカップ形の縁に取り付ければ、カップの回転として回転出力を取り出せます。透明プラ板の筒と厚紙によるカップを取り付けました。製品では金属製カップのふちに歯を刻んでフレクスプラインとしています。
出力カップを取り付けた状態 | ハーモニック・ドライブ・システムズ社HPより |
おまけ情報
拙著 『やさしくわかる歯車のしくみ』 誠文堂新光社(2007年11月2日発売) の中にくわしい作り方の解説があります。