No.52 ラジオでわかる静電気 2009.2.1.掲載

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静電気現象では電子の流れが目に見えないので、内容を直感的に捉えにくい面があります。AMラジオを使うと、電気の流れを音で感じることができます。

こするとラジオが鳴る

例えば右図のように塩ビパイプ(水道管のパイプ)を紙でこすると、塩ビパイプには負(マイナス)の静電気が発生します。

そのとき、近くにAMラジオがあると、こするたびにザザー、ガガーと雑音のような音がします。ラジオに近いほど、こする時のラジオの音は大きく聞こえます。

なぜ? 
塩ビパイプをこすると、電波を出す?
 その通りです。塩ビパイプに発生したばかりの負の電気が紙の正(プラス)の電気と放電する時に電磁波(電波)を出しているのです。小さなカミナリ放電が次々と起こっているわけで、その電磁波をラジオが受信してザザー、ガガーという音を出します。

 

指から電波?

 紙でよくこすった塩ビパイプの一カ所を指でさわります。指は一本だけ突き出すようにパイプに近づけます。指がパイプに接触する手前でラジオがパチと音を立てます。パイプの同じ場所で1〜2回くりかえすと、それ以降はラジオからの音がしなくなります。そこで、パイプの別の場所をさわると、またパチとなります。

なぜ?
人の身体は電気が通ります。塩ビパイプ表面に生じた電気は指が近づくと一瞬で指に放電して、人の身体に逃げてしまいます。その時に電波が出るのです。塩ビパイプは不導体なので、表面の電気は塩ビパイプを自由に流れることが出来ません。紙でこすることで生じた電気はその場にとどまっているので、ある部分が放電されても、別の部分にはまだ電気が残っているわけです。ですから、指で塩ビパイプの表面の電気をすべて放電させてゼロにするには結構手間がかかります。

  

 

ライデン瓶を使って

  スチロールコップでライデン瓶を作る実験もおなじみの実験だと思います。念のため、右図に作り方を示して置きます。

ライデン瓶のまわりのアルミホイルは事務机など導電性の台の上に置くか、手で持つと接地がわりになります。リボンの近くに良くこすった塩ビパイプの表面を通過させると、パイプ表面からリボンに少しずつ放電が起こり、内側のアルミには負の電気が、外側のアルミには正の電気が蓄えられます。
 そのとき、AMラジオが近くにあると、リボンに放電して電気(電子)が流れる様子を聞くことが出来ます。満充電になると、塩ビパイプを近づけても、それ以上電気が入って行きません。それもラジオの音でわかります。

今度は放電してみます。ストローでリボンを外側のアルミホイルに触れさせると、ラジオからパチンという音が出ます。そのとき、良く見ていると、リボンとアルミ容器の間に青い火花が飛ぶのを見ることができます。放電はもちろん1回きりです。アルミニウムは導体なので、中に蓄えられた電気は全て流れ出てしまいます。
 指を近づけても同じですが、ゆっくりじわじわと近づけると、ラジオがキューキューという面白い音を出すことがあります。室内の湿度が高いとき、そのような放電になるようです。

 

いろいろな放電

1887年ヘルツの実験は、予言されていた電磁波の存在を確かめました。受信機は巨大なリングに2つの金属球を付けたものであり、金属球の間に飛ぶ火花が受信した証拠となりました。それに比べて現在のラジオはとてつもなく高感度です。

 右図は単三乾電池1個でLEDを点灯させるブザー式昇圧器の実験ですが、タップねじと単三乾電池の接触部分では、ほとんど目には見えませんが、小さな火花が飛んでいるはずです。そのため近くに置いたAMラジオはそこから出る電磁波をひろって、オートバイのような音を出します。

 圧電素子を使ったライターも放電による火花を出します。この放電もAMラジオで聞くことができます。ライター自身も圧電素子をたたく音がするので、AMラジオにイヤホンを付けて聞くと確認がしやすいでしょう。 →No.40 ファラデー式LED点灯

 

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