内燃と外燃の区別は?
ガソリンエンジンのように燃焼ガスが直接に作動流体となるのが内燃機関であり、蒸気機関のように燃焼が外部で行われ作動流体とならない熱機関が外燃機関ということになっています。
微妙な例は?
では、微妙な例として、バキュームエンジンはどうでしょうか。
炎は外にあるが、フタが開いて、穴から炎がシリンダ内に吸い込まれる。放熱して内部圧力が下がりピストンを引き込む。そのような動作をします。吸い込まれた燃焼ガスが作動気体になるので、上の定義では内燃機関となってしまいます。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:KURBEL-4_Vakuum-Motor_Funktion.gif
VACUMAXデンマーク製 |
自作した車 |
そこで、もし吸排気部分と炎との間に薄い金属板の仕切りを設けた状態を考えます。その金属板が充分に熱せられていれば、吸気口は炎ではなく金属板に熱せられた吸気口辺りの空気を吸い込んで、エンジンは同様に動作しそうです。燃焼ガスでなくとも吸い込む空気が高温であれば良いわけです。この点がガソリンエンジンやジェットエンジンなどとは大きく違っています。
ところで、物理学では仕事をする主体は力です。その言い方では、内燃機関では燃焼ガスの圧力が仕事をするということになります。なので、内燃機関とは燃焼ガスの圧力が仕事をする熱機関、それ以外の熱機関は外燃機関と定義しても良いと思います。
例えば、ガスタービンは燃焼ガスの圧力がタービン翼を動かす仕事をするので内燃機関ですが、まわり灯篭はローソクが燃えた燃焼ガスの圧力が風車を回すわけではないので、明らかに外燃機関です。このように、色々な熱機関を切り分けることが出来ます。
さて、バキュームエンジンはどちらでしょうか。
(小林義行)