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1.スターリングエンジンはなぜ動く?
@気体を加熱したり、冷却したり
閉じ込められた気体を温めれば内部の圧力が 増し、冷やせば圧力が減りま す。図のようにピストンにつないで、気体の加熱と冷却を繰り返せば、ピストンの動きによって物を動かすなどの仕事をさせることが出来きます。ところが、容 器ごとの加熱・冷却では、時間がかかり過ぎます。 |
A素速く加熱・冷却す る工夫
そこで考え出されたのがディスプレーサです。
右図のように、気体を入れた容器 の一端を熱し 続け、 反対側は冷やし続けることにします。容器の中には、ディスプレーサピストンというものを置きます。 ピストンといっても容器とピスト ン 壁の 間には隙間があり、気体はその隙間を通って流通できるようになっています。 (右図)…ボタンをクリックして、ディプレーサピスト ンを動かしてみよう。 |
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ディスプレーサピストンを右に動かすと、気体は左側の高温部に流れ込
み、 高温の壁で温められます。その結果、内部の圧力が上がるので、ピストンを押し伸ばします。
逆に、左に動かせば、気体は右側の低温部に流れ込み、冷やされ、全体の圧力が 下がるので、ピストンを引き込みます。 こ のようにしてディスプレーサは、気体を移動させることで、加熱・冷却を素早く行って、気体の圧力を 変化させる装置です。 |
B自力で動き続ける ためのしくみ…スターリングエンジンの完成
☆機械リンク
型スターリングエンジン
クランク機構を使って、出力ピスト ンの往復運動を、 回転運動に変換しましょう。 フライホィールとは「はずみ車」のことです。押し引きの力でフライホィー ルに 運動エネルギーが蓄えられるので、回 転の急な加速や減速を妨げ、回転を なめらかにします。 手をタイミング良く動かすと、フライホィールは回りつづけます。
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ディ スプレーサを手で動かすかわりに、フライホィールに取り付けたクランクで動かすようにします。そうすると、エンジンは自力で動き続け ま す。 ディスプレーサと出力ピストン の動き にはタイミングのズレ(位相差)が必要です。 |
速度 |
☆フリーピストン型スターリングエンジン
ク ランク機構などの機械じかけを使わずにディスプレーサを動かす方法も考え出されました。
ビール
式 (1964 William Beale)
中身の気体の圧力の変化でディスプレーサを 動かします。バネAとバネBを調節して振動の速さを合わせる必要があります。 図をクリックするとアニメーション(animationGIF)がスタート |
SECD:Stirling Engine
with Colliding Displacer (2001 小林) 出力ピストンは固定されていて、エンジン容 器の 方が動きます。容器全体が振動すると、それに対する衝突と慣性によってディスプレーサピストンが往復運動をします。 図をクリックすると |
2.古いけれど、未来のエンジン
3.未来のエンジンと言われるわけ
静かなエンジン
車やバイクのエンジンは爆発音のために騒音が発生します。そのため、消音マフラーや遮音材などの工夫をして
いますが、完全に消すことは出来ません。スターリングエンジンは爆発音が発生しないので、きわめて静かです。
原理的に高効率
熱エネルギーの何%を仕事に変えられるか、という値が熱効率です。スターリングエン
ジン
は爆発を行わずスムーズに気体を変化させるので、原理的に非常に熱効率の高いエンジンです。企業が実際に試作した際のデータでも、ディーゼルエンジン並み
の熱効率がすでに得られています。
排気ガスがクリーン
ガソリンやディーゼルの内燃機関は燃料と空気を混ぜて、密室で爆発させるため、高温高圧下で様々な化合物
が生
じてしまい、窒素酸化物(NOx)をはじめ有害な成分が排気ガスに含まれてしまいます。スターリングエンジンでは、燃料を使う場合でも爆発によって発生す
る有害成分は出ません。静かに燃焼させクリーンな排ガスを得ることが可能です。
熱源を選ばない
スターリングエンジンは温度差を作り出せば動くので、バイオマスなどのあらゆる可燃物、地熱、太陽熱など、
色々な熱源の利用が可能です。
また、設計によって数十度、あるいは数度の温度差でも動く低温度差型のエンジンを製作することが出来ます。温排水などの現在捨てられている熱を利用する
方法の一つになります。
4.スターリングエンジンの技術的課題
重さ大きさ(比出力)
気体の熱膨張・熱収縮を利用するのですから、たくさん
の仕
事をさせるために必要な気体の量は多くなります。したがって、どうしても出力の割に大型なエンジンになってしまいます。このことは初期のスターリングエン
ジンがガソリンエンジンなどの手軽な内燃機関に押されてしまった原因の一つです。
現在では、中身の気体を高圧で詰め込み、この問題を解決できる事が知られています。しかし、それに伴っ
て、気体漏れなどの新たな問題点も生まれます。
気体シールの難しさ
ピストンの力は気体の圧力に比例して大きくなるので、気体をたくさん詰め込み、高圧化(100気圧〜200気圧程度)すれば、小型で
も出力の大きなスターリングエンジンを作ることが出来ます。
しかし、スターリングエンジンは気体を気密に保ったままで膨張・収縮を行ないます。気体を高圧に詰め込んで高レベルな気密を保ちなが ら、
ピストンや出力軸を摩擦なく動かすようにすることは、難しい技術であり、そのための複雑な機構が加わることになります。
熱を伝える難しさ
ガソリンエンジンはエンジン内部で燃焼・爆発させる「内燃機関」ですが、スターリングエンジンは「外燃機関」であり、外部から熱を内部の気体に伝え
てい
ます。このため、壁越しに熱を漏れなく伝える困難に直面します。現在の高性能スターリングエンジンでは多管式加熱器、つまり耐熱合金製の多数のパイプの中
に内部気体を流して加熱する方法が用いられています。しかし、材料が高価であり、加工が難しく、耐久性やメンテナンスの問題もあります。
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