No.71


  arduinoを利用

 ぐるぐるバット模型

2022年7月掲載

  「目 が回る」しくみを 再現


 この装置は静止していると何も起こりませんが、左右方向に回転させるときランプが光って音が出ます。左 に回る時には緑に光り低い音、右に回すと赤く光って高音が鳴ります。
 指で装置をぐるぐると、例えば左に回し続けると、緑・低音が出続けます。10回ぐらい回し続けてか ら回転を止めると、数秒間は、赤・高音が出ています。「目がまわる」ことの再現です。


 「ぐるぐ るバット」でまっすぐ歩けなくなるのは、もちろん目がまわってしまったからですね。これは、私たちの体が持っている、回転に 対しての平衡感覚、その仕組みが原因です。
 私たちは目をつぶっていても、身体を右や左に回されると、その回転を感覚できるように作られています。

 

https://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/textlife/sense.htm
回 転に対する平衡感覚
 
 私たちの耳の奥の方には円形の管(三半規管)があり、リンパ液で満たされています。入れ物である身体が回転すると、リンパ液は慣性 に よって、その位置にとどまろうとするので、管の継ぎ目の所(前庭)にある感覚毛がリンパ液の流れを感じとります。このようにして、身体の 回転を感覚しています。
 ぐるぐるバットの場合、身体を回転し続けるので、やがてリンパ液も一緒に回転し流れ始めます。そこで、身体の回転を止めると、リン パ液 は惰性のため直ぐには止まりません。そのため身体が回転していないのに、感覚毛は流れを感じて、脳は「回転している」と感覚してしまいま す。



模型の説明
 
 昔々、自身が生徒だったころ、生物の体内に「慣性」を利用した仕掛けがあることに「面白いな」と感じたことを思い出し、この模型の製作 を思い立ちました。

 半規管の円形路と同様に、パイプをぐるり回すように使うと見映えが良いでしょうが、本機では簡単にタッパー容器で済ませました。前庭の クプラのように水流に押されるのは水中に垂らしたプラスチック板とします。容器が左右に回転すると、水の慣性によって、板が押されて右左 に傾き、接点が接触し、それをスイッチとして左右で別の音が鳴るようにしました。

 次図が配線図です。
左右どちらの接点が接触したかをArduinoマイコンが判 断し、LEDの点灯させ、音 の信号を出します。

 実はこの装置の前身は、
10年以上前に、ロ ジックICによる発振回路で左右2種類の音を鳴らす作りで製作したものです。このごろになって、マイコン式に変更し、回転方向の色分け LEDも追加しました。


配線図
 左 の図のD4(デジタル4pin)に圧電スピーカーなどを直接、D5,D6には100〜400Ωていどの抵抗を直列にしてLEDを取り 付ければ動作しますが、それだけでは音量や光量が少し物足りない。

しかしArduinoが流せる電流は1ピン40mAまでという制 限があり、それ以上流すと、壊れる心配もあるので‥。


1815 本機では、左図のようにスピーカーの方も、高輝度LEDの方も、トランジスタ駆動 にしています。LEDは電流やや流し過ぎかも‥ですが、何とか大丈夫のようです。

breadB RedLED 水タンクのタッパーの上に小さなタッパーを重ねて、その中にArduinoボード と配線用ブレッドボードを収納しました。さらに、その上にスピーカー用のタッパーを乗せたので、結果、正月のお供え餅みたいな形になりま し た。

写真(右側)のように、本機を回転テーブルに載せると、軽く指一本でぐるぐるとスムーズに回転できるので、便利です。


  
int Lpin;
int Rpin;
void setup() {
 digitalWrite(5,LOW);
 digitalWrite(6,LOW);
}
void loop() {
 Lpin=analogRead(1);  
 Rpin=analogRead(2);
 if (Lpin<512) {
   digitalWrite(5,HIGH);
   tone(4,440,50);
   delay(10);
   digitalWrite(5,LOW);
  }

f (Rpin<512) {
   digitalWrite(6,HIGH);
   tone(4,1760,50);
   delay(10);
   digitalWrite(6,LOW);
  }
 }

Arduinoプログラム用の言語、Sketchは左のようにしました。
やることが単純なので、プログラムも単純です。

低音は440Hz,高音は1760Hzで鳴らしています。

tone():という関数が標準で備わっています。
例えば  tone(4,440,50);   は
デジタル4pinに440Hzの振動(矩形波)信号を50ミリ秒間出せという文です。





Unoボードをnanoボードに置き換えても全く問題ありませ ん。nanoをブレッド ボードに差せば、スピーカーを入れられ、容器を1個減らせそうです。

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